音楽配信サービスやオーディオブックといった音声コンテンツに接する機会の増加や動画共有SNSへの投稿を背景に、音声データを編集したいという方がいらっしゃるかもしれません。初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに支持される音声編集ソフトがWavePadです。そこで今回は、WavePadの基本的な使い方や便利な機能、代替ツールを紹介します。
Part1.WavePadとは
WavePadは、音声編集を手軽に行えるソフトウェアで、NCH Softwareによって開発されています。主に音声ファイルの編集や加工、録音などに使われ、初心者からプロまで幅広い層に利用されています。WavePadの特長は、その使いやすいインターフェースと多機能性です。MP3やWAVなど、さまざまな音声フォーマットに対応しており、カット、コピー、ペーストといった基本操作から、エフェクトの追加、ノイズ除去、音質の調整など高度な編集も可能です。
また、バックグラウンドノイズの除去やエコーの追加、ピッチや速度の調整など、細かい加工ができるため、ポッドキャスト制作や音楽編集、ボイスオーバー録音など、さまざまな場面で活躍します。
WavePadのメリット
WavePadのメリットとして、次の点が挙げられます。
まず、初心者でもすぐに使いこなせるインターフェースをもっており、基本的な音声編集から高度な加工までスムーズに行なえることです。次に、ノイズ除去、エコーやリバーブの追加、音質調整、音声の分割や結合など、音声編集に必要なツールが豊富に揃っており、プロフェッショナルな仕上がりが期待できるといえます。さらに、MP3、WAV、FLAC、OGGなど、さまざまな音声ファイル形式に対応しているため、幅広い用途に対応可能であることが挙げられます。
WavePadのデメリット
WavePadのデメリットとして、次の点が挙げられます。
まず、無料版では一部の高度な機能が制限されており、プロ向けのエフェクトやツールを使用するには有料版へのアップグレードが必要な点です。次に、機能性は十分ですが、デザインやインターフェースの見た目がやや時代遅れに感じるユーザーもいるかもしれないことです。さらに、大きなファイルや複数のエフェクトを適用する際、処理速度が遅くなることがあり、高負荷な作業には不向きな場合もあることが挙げられます。
WavePadの便利な機能
WevePadには、音声データの編集に関するさまざまな機能が搭載されています。
①ノイズ除去機能
録音時に入ってしまったバックグラウンドノイズや風切り音などを自動で検出し、除去することができます。この機能は、ポッドキャストやナレーション、音楽制作など、クリアな音質が求められる場面で非常に便利です。
②豊富なエフェクト
エコー、リバーブ、コンプレッサー、イコライザーなど、プロフェッショナルな音声加工に役立つエフェクトが多数搭載されています。これらのエフェクトは簡単に適用でき、細かい調整も可能です。
③音量の正規化
録音した音声の音量を均一化する「正規化」機能があります。音声の大きい部分と小さい部分の差を調整して、聞きやすい音声にするのに役立ちます。
④スピーチ変換機能
テキストを音声に変換する「テキスト・トゥ・スピーチ(TTS)」機能が搭載されており、コンピュータが自動で文章を読み上げる音声を生成することができます。簡単なナレーションやアナウンス作成に便利です。
⑤音声解析ツール
音声の波形やスペクトラム解析ができるツールがあり、音声の特定の周波数や特徴を視覚的に確認しながら、編集作業を行うことが可能です。特に音楽編集や細かい音声調整に役立ちます。
⑥フォーマット変換機能
WavePadでは、さまざまな音声ファイル形式に対応しており、MP3、WAV、FLACなど、ファイル形式の変換も簡単に行えます。必要に応じて異なる形式に変換することで、再生機器やプロジェクトに合わせた最適なファイルを作成できます。
Part2.WavePadの使い方
WavePadは多機能な音声編集ソフトであるため、初心者には使い方がわかりにくいかもしれません。そこで、インストール方法や音声データの編集方法、便利な機能など、WavePadの使い方について紹介します。
WavePadのインストール方法
まず、NCH Softwareの公式サイトにアクセスし、「無料ダウンロード」ボタンをクリックしたのち、使用しているOSに合ったインストーラーをダウンロードします。次に、インストーラーファイルをダブルクリックして実行します。インストールウィザードが表示されるので、画面の指示に従って進めていきます。インストール中、ショートカットの作成場所や、追加機能のインストールオプションが表示されることがあります。必要に応じてチェックを入れて設定していくだけです。
WavePadで音声データを編集する方法
まず、WavePadを起動し、編集したい音声データを読み込みます。画面左上にある「開く」ボタンをクリックし、編集したいファイルを選択するだけです。音声ファイルが読み込まれたら、再生ボタンを押して、編集する箇所を確認します。たとえば、トリミング編集の場合、タイムラインの両端をマウスでドラッグすることで、カットする位置を調整できます。調整が終わると、カット編集を実行します。
音声編集が終わったら、「ファイル」メニューから「保存」または「名前を付けて保存」を選択して、編集した音声データを保存します。フォーマットを選んでエクスポートすることも可能です。MP3やWAVなど、用途に応じた形式を選びましょう。
Part3.WavePadの代替ツール
WavePadは高機能な音声編集ソフトですが、OSが対応していない、あるいは高価すぎるといった理由で、WavePadと同等な音声編集ツールを使いたいという方がいらっしゃるかもしれません。
そこで、WavePadに代わる音声編集ツールを紹介します。
①Wondershare UniConverter
Wondershare UniConverterは、1000種類以上のファイル形式に対応したファイルコンバーターです。動画や音声に関する編集機能も多彩で、AIを活用したボイスリムーバーなど最新の機能も搭載しています。
対応OS |
Windows, Mac |
特徴 |
・音声・動画変換、編集、圧縮機能を搭載 ・一括変換やダウンロード機能が充実 ・1000種類以上のフォーマットに対応 |
メリット |
・使いやすいインターフェース ・高品質なフォーマット変換 ・編集、圧縮、変換、転送が1つのソフトで完結 |
デメリット |
・一部の高度な機能は有料版のみ ・他のソフトと比べるとやや高価 |
②Audacity
Audacityは、オープンソースの音声編集ソフトです。Windows、macOS、Linuxなど多くのOSに対応していることも特徴で、豊富なプラグインで多くの音声編集機能を利用可能です。
対応OS |
Windows, Mac, Linux |
特徴 |
・オープンソースの音声編集ソフト ・豊富なプラグイン対応でカスタマイズが可能 ・マルチトラック編集に対応 |
メリット |
・完全無料で利用できる ・軽量で動作が速い ・多くの音声フォーマットに対応 |
デメリット |
・インターフェースがやや複雑で初心者には難しい場合がある ・高度な編集には追加プラグインが必要 ・デザインが古く感じる |
③SoundEngine Free
SoundEngine Freeは、単一の音声ファイルを編集できるフリーソフトです。マルチトラックの音声ファイルの編集には、「RadioLine Free」というソフトが用意されています。
対応OS |
Windows |
特徴 |
・高音質な音声編集が可能 ・シンプルなインターフェースで使いやすい ・ノイズ除去やリバーブなどの基本的なエフェクトを搭載 |
メリット |
・完全無料で利用できる ・シンプルな操作で初心者にも使いやすい ・高音質な編集が可能 |
デメリット |
・MacやLinuxには対応していない ・高度なエフェクトや編集機能が他ソフトと比べて少ない ・マルチトラック編集ができない |
④mp3DirectCut
Mp3DirectCutは、MP3形式の音声ファイルに対応した編集ソフトです。フリーソフトでありながら、無音区間の自動検出など、高度な音声編集機能を搭載しています。
対応OS |
Windows |
特徴 |
・MP3ファイルを直接編集できる ・エンコード不要で、音質を保持したまま編集可能 ・音量調整やフェードイン/フェードアウト機能を搭載 |
メリット |
・エンコード不要で高速に編集できる ・軽量で動作が速い ・音質の劣化が少ない |
デメリット |
・MP3以外のフォーマットに対応していない ・基本的な編集機能のみで、高度な編集には不向き ・MacやLinuxでは使用できない |
⑤Sazanami
Sazanamiは老舗の音声編集ツールで、非圧縮のWAV形式に対応しています。ファイル形式の変換やリッピング、マイク入力からの録音など、オールインワンのツールとなっています。
対応OS |
Windows |
特徴 |
・波形編集に特化した音声編集ソフト ・シンプルで直感的なインターフェース ・基本的な編集機能に加え、ノイズ除去機能も搭載 |
メリット |
・軽量で動作が速い ・シンプルな操作で初心者でも扱いやすい ・無料で使えるのに、ノイズ除去などの実用的な機能を搭載 |
デメリット |
・高度な編集機能やエフェクトが少ない ・MacやLinuxには対応していない ・複数トラックの同時編集ができない |
⑥VocalShifter LE
VocalShifter LEは、ボーカル向けの本格的波形編集ソフトです。ピッチ補正機能など、ボーカル向けの編集機能を搭載しています。ただし、フリー版のVocalShifter LEは、サンプリングレートやビット数が制限されています。
対応OS |
Windows |
特徴 |
・ボーカルのピッチシフトやタイムシフトが可能 ・直感的な操作でボーカル編集をサポート ・リアルタイムでの音声再生機能を搭載 |
メリット |
・高精度なピッチ調整が無料で利用可能 ・リアルタイムで変更を確認できる ・軽量で操作が簡単 |
デメリット |
・高度な編集機能は少ない ・MacやLinuxには対応していない ・複数トラックの同時編集ができない |
⑦Adobe Audition
Adobe Auditionは、クリエイティブ向けのソフトを多数提供するAdobeの音声編集機能です。プロフェッショナル向けの高度な音声編集機能を搭載し、最近はAI技術を取り入れた機能も新規追加されています。
対応OS |
Windows、Mac |
特徴 |
・プロフェッショナル向けの音声編集ソフト ・マルチトラック編集機能が充実 ・高度なノイズ除去やリバーブなどのエフェクトが豊富 |
メリット |
・多機能で細かな編集が可能 ・他のAdobe製品との連携がスムーズ ・音質の劣化が少なく、高品質な編集が可能 |
デメリット |
・価格が高めで、サブスクリプション形式 ・初心者には操作が複雑に感じることがある ・PCのスペックが低いと動作が重くなることがある |
Part4.WavePadが使えない時の対処法
WavePadは多機能な音声編集ソフトですが、初心者のなかには多機能すぎることや操作が難しいことから使いづらいと感じる方がいらっしゃるかもしれません。
そんな方におすすめの初心者向け音声編集ツールがWondershare UniConverterです。洗練されたユーザーインターフェースに、頻繁に使用される音声編集機能だけを厳選しています。また、音声編集で悩むことの多いファイル形式の選択やカスタマイズも簡単に行なえます。
そこで、UniConverterを使って、音声データを編集しMP3形式に変換・保存する手順を紹介します。
UniConverterで音声データを編集する手順
Step1. 音声編集ツールの起動
UniConverterを起動し、画面中央に表示される「動画編集」タブをクリックします(①)。
画面左上の「クリップ」アイコンから「ファイルを追加」をクリックし、編集したい音声データを選択します(②)。
Step2. 音声編集の下準備
たとえば、音声データをトリミングしたい場合には、「はさみ」アイコンをクリックします(③)。
波形の両端をマウスでドラッグし、「OK」ボタンをクリックします(④、⑤)。
すると、トリミングした音声データが表示されます(⑥)。
「設定」アイコンをクリックすることで、出力するファイル形式や品質をカスタマイズできます(⑦)。
「音声」タブからお好みのファイル形式、品質(ビットレート)を設定します(⑧)。
Step3. 音声編集の実行
「開始」をクリックすると、音声編集を開始します(⑨)。
チャイム音が鳴ると音声編集が終了し、編集後の音声データが出力されます(⑩)。
まとめ
Wavepadは多機能な音声編集機能をもつソフトであるものの、有料であるため、無料試用期間にほかの音声編集ツールと比較検討したいという方もいらっしゃるでしょう。Wondershare UniConverterは初心者でも使いやすいユーザーインターフェースを備えたソフトで、音声編集機能や音声ファイルの変換、リッピングなど、音声データについて一式のツールを備えています。AI技術を活用したボイスリムーバーなど、最新鋭の音声編集機能も搭載していますので、ぜひ試してみてください。