動画視聴の際、画質の違いは視聴体験に大きな影響を与えます。とくにSD画質(標準画質)とHD画質(高精細画質)とでは映像の鮮明さに大きな違いがあり、視聴者はHD画質によりクリアな映像と臨場感を楽しむことができます。
しかしながら、情報量の少ないSD画質の動画から情報量の多いHD画質の動画に変換することは通常不可能で、AI技術によって情報を補足することで可能となります。そこで今回は、SD画質からHD画質に上げる便利なツールやソフトウェアを紹介します。
Part1.SD画質とHD画質の違い
SD画質とは
「SD画質」とは、「Standard Definition」(標準画質)の略で、ビデオや映像の解像度の一種です。解像度が低く、720×480ピクセル(NTSC)や720×576ピクセル(PAL)などが代表例です。主にアナログテレビ放送やDVDに使用され、現在ではHDや4Kなどの高解像度が主流になっています。しかし、データ容量を抑えたい場面や一部のストリーミングサービスでは、SD画質が依然として利用されることがあります。
HD画質とは
「HD画質」は「High Definition」(高精細度)の略で、SD画質よりも高い解像度をもつ映像フォーマットです。代表的な解像度は、720p(1280×720ピクセル)と1080p(1920×1080ピクセル)で、テレビ放送や動画配信、Blu-rayディスクなどで広く使用されています。HD画質は、SD画質の5倍以上のピクセル数をもち、より鮮明で詳細な映像を提供します。多くのメディアやコンテンツで主流となっている解像度です。
SD画質とHD画質の違い
SD画質とHD画質の主な違いは、解像度と映像の鮮明さにあります。SD画質は画面が荒く大きなスクリーンでは画質の粗さが目立つのに対して、HD画質はよりシャープで細部がはっきりした映像を提供します。両者の違いは、大画面のテレビやプロジェクターで顕著に現れます。
Part2.SD画質をHD画質に上げるツール8つ
SD画質をHD画質に上げる(アップスケール)には、AI技術を活用する必要があります。そこで、SD画質をHD画質に上げるツールを紹介します。
①Adobe Premiere Pro
Adobe Premiere Pro は、Adobe Systemsによって開発された動画編集ソフトです。プロフェッショナル向けの強力な編集ツールであり、映画、テレビ番組、YouTube動画など、幅広い分野で使用されています。AIベースのアップスケール機能も搭載されており、解像度を向上させることが可能です。
項目 |
内容 |
対応OS |
Windows、macOS |
特徴 |
・タイムラインベースの編集 ・AIベースのアップスケール ・Adobe製品との連携 |
メリット |
・プロ向けの高機能 ・幅広いファイル形式に対応 ・拡張可能なエフェクトライブラリ |
デメリット |
・高価格 ・初心者にはやや難しい ・動作が重くなる場合がある |
アップスケール機能 |
★★★★☆ |
②UniFab 動画拡大 AI (旧DVDFab Enlarger AI)
UniFab 動画拡大 AI (旧DVDFab Enlarger AI )は、DVDFab社が開発した、AIを利用したビデオアップスケーリングツールです。480pのSD映像を1080pのフルHD、さらには4K解像度までアップスケールすることが可能で、AIによるノイズ除去や詳細補正も行えます。
項目 |
内容 |
対応OS |
Windows、macOS |
特徴 |
・AIによる最大300%の解像度アップスケール ・ノイズ除去 ・色補正 ・複数のAIモデル(Premium Quality、Ultra Quality、Deblockなど4種類) |
メリット |
・簡単な操作で高品質な映像を生成可能 ・DVDや低解像度動画の効果的なアップスケール |
デメリット |
・処理速度がやや遅い ・高性能なハードウェアが必要 |
アップスケール機能 |
★★★★☆ |
③Wondershare UniConverter
Wondershare UniConverterは、Wondershareが開発した、動画や音声ファイルの変換、編集、圧縮、ダウンロード、DVD書き込みなど多機能を備えた総合メディア変換ツールです。AIを使用したアップスケール機能により、最大8Kまでの解像度向上が可能です。
項目 |
内容 |
対応OS |
Windows、macOS |
特徴 |
・1000種類以上のフォーマット対応 ・AIベースのアップスケール(最大8K) ・動画編集 ・DVDリッピング ・ファイル圧縮 |
メリット |
・高速なメディア変換 ・AIによる高精度なアップスケールとノイズ除去 |
デメリット |
・Linux非対応 ・高度な編集機能が不足 ・長期プロジェクト向けに価格がやや高め |
アップスケール機能 |
★★★★☆ |
④AVCLabs Video Enhancer AI
AVCLabs Video Enhancer AI は、AI技術を活用してビデオの品質を向上させるソフトウェアで、とくに低解像度の映像を4Kなどの高解像度にアップスケールする機能に優れています。ノイズ除去やぼやけた映像の修正も可能で、初心者でも簡単に操作できる設計です。
項目 |
内容 |
対応OS |
Windows、macOS |
特徴 |
・AIによる解像度アップスケール(最大4K) ・ノイズ除去 ・顔の特徴修復 ・ぼやけ補正 ・SDから4Kまで対応 |
メリット |
・直感的なインターフェース ・詳細な設定不要で高品質の結果 ・AIモデルによる自動最適化 |
デメリット |
・高性能なハードウェアが必要 ・処理時間が長い場合がある ・かなり高額 |
アップスケール機能 |
★★★★★ |
⑤Topaz Video AI
Topaz Video AI は、Topaz Labsによって開発され、2021年にリリースされたAI技術を活用したビデオ向上ツールです。低解像度の映像を最大8Kまでアップスケールし、フレーム補間、手ぶれ補正、ノイズ除去、スローモーション生成などを行います。映像の細部を強調し、古い映像の復元にも適しています。
項目 |
内容 |
対応OS |
Windows、macOS |
特徴 |
・4K/8Kへのアップスケール ・フレーム補間(最大120fps) ・手ぶれ補正 ・ノイズ除去 ・スローモーション生成 ・複数ファイルのバッチ処理 |
メリット |
・高精度なアップスケール ・複数のAIモデル選択を用意 ・ユーザーフレンドリーなインターフェース |
デメリット |
・高性能なハードウェアが必要 ・処理が重いため時間がかかる場合がある |
アップスケール機能 |
★★★★★ |
⑥Winxvideo AI
Winxvideo AIは、Digiarty Software, Inc. によって開発された動画・画像の品質を向上させるAIツールで、解像度のアップスケールや手ぶれ補正、フレームレートの向上などの機能を提供します。また、動画変換や編集、圧縮もサポートしています。
項目 |
内容 |
対応OS |
Windows |
特徴 |
・動画・画像の解像度向上 ・手ぶれ補正 ・フレームレート向上 ・動画編集・変換 ・画面録画 ・ダウンロード機能 |
メリット |
・GPU加速による高速処理 ・豊富なフォーマット変換 ・映像編集ツール付き |
デメリット |
・処理に時間がかかる場合がある ・高負荷な作業のためハードウェア性能に依存 |
アップスケール機能 |
★★★★☆ |
⑦Aviutl
AviUtl は、日本の開発者によって開発された、老舗の無料の動画編集ソフトです。非常に軽量でありながら、高機能な編集やエフェクト処理が可能で、拡張プラグインを使用することで多彩な機能を追加できます。アップスケール機能は標準ではありませんが、「SharpenResize」、「nnedi3」といった外部プラグインによって解像度の向上を実現できます。
項目 |
内容 |
対応OS |
Windows |
特徴 |
・軽量 ・高機能 ・プラグインによる機能拡張 ・カスタマイズ性が高い |
メリット |
・無料なのに高機能 ・プラグインによる自由な拡張 ・低スペックPCでも動作可能 |
デメリット |
・初心者には使いにくい部分がある ・公式サポートなし ・アップスケールは外部プラグインが必要 |
アップスケール機能 |
★★☆☆☆ |
⑧VLC Player
VLC Media Player は、非営利団体VideoLANが開発し、2001年にリリースされた無料のオープンソースのメディアプレーヤーです。多くのファイル形式やメディアプロトコルに対応し、広告やトラッキングが一切ない点が特徴です。VLCには解像度を変更するオプションがありますが、専用のアップスケール機能は搭載されていません。
項目 |
内容 |
対応OS |
Windows、macOS、Linux、Android、iOS |
特徴 |
・幅広いメディアフォーマット対応 ・ストリーミング再生 ・字幕対応 ・軽量で高性能 |
メリット |
・無料で広告なし ・クロスプラットフォーム対応 |
デメリット |
・高度な編集機能がない ・アップスケール機能は限られている |
アップスケール機能 |
★☆☆☆☆ |
Part3.SD画質をHD画質に上げる方法
SD画質をHD画質に上げたい場合におすすめのツールがWondershare UniConverterです。
UniConverterは、AIベースの技術を活用し、解像度を最大8Kまでアップスケールする機能を備えています。とくに、低解像度の動画・画像を高品質に変換する際に効果的で、操作もシンプル。
ファイルを選択し、出力解像度を設定するだけで、元の映像のディテールを最大限に引き出しつつ、ノイズを除去してくれます。
さらに、変換だけでなく、動画の編集や圧縮、形式変換など多機能で、動画作成を包括的にサポートします。SD画質の古い映像を新しいHD品質に変換したい方に最適なツールです。
そこで、UniCovnerterを使って、SD画質をHD画質に上げる手順を紹介します。
UniConverterでSD画質をHD画質に上げる手順
Step1. HD画質に上げたい動画の読み込み
UniConverterを起動し、画面中央に表示される「動画アップスケーラー」をクリックします(①)。
HD画質に上げたいSD動画を読み込みます(②)。
Step2. アップスケールの設定
「アップスケーラー設定」から「×2」を選択します(③)。
Step3. アップスケールの実行
「エクスポート」をクリックします(④)。
動画解析が始まります。左側にSD画質の動画、右側にHD画質の動画が表示されます(⑤)。解析には時間がかかるので、ゆっくり待ちましょう。
動画解析が終わり、アップスケールが実行されると、「成功」の文字が表示されます(⑥)。「ファイル」アイコンから、アップスケール後の動画を表示させることが可能です(⑦)。
まとめ
昔に制作された動画はSD画質であることが大半です。そのため、現在の解像度の高いディスプレイやプロジェクターで表示すると、粗くなってしまいます。AI技術の向上により、SD画質をHD画質に上げることが可能となりました。アップスケール機能をもつツールは数多くリリースされているものの、高価格だったり、機能がプロ向きであったりするなど、初心者は手を出しにくいかもしれません。
Wondershare UniConverterは優れたユーザーインターフェースで、初心者でも簡単に動画をアップスケールすることが可能です。ぜひ、UniConverterを試してみて、その便利さを体感してみてください。